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【漫画感想】寂しさを抱える2人は惹かれ合う――。『熱帯魚は雪に焦がれる』

今回ご紹介させていただくのは電撃コミックスNEXT『熱帯魚は雪に焦がれる』です。(略称は『はにがれ』。)

<次にくるマンガ大賞2018>で堂々の10位にランクインした作品で、多くの方から支持されていることが判りますね。

私も大好きな作品で電子書籍と紙媒体、どちらも全巻買っております。

多くの人に愛される『はにがれ』。今回はその魅力について語っていきたいと思います。

極力配慮をしておりますが、この記事には『熱帯魚は雪に焦がれる』3巻までのネタバレを含みます。ご注意ください。

作品概要

『熱帯魚は雪に焦がれる』とは?

マジメ系不器用先輩と強がり系不器用後輩のガールズシップ・ストーリー

都会の高校から、海辺の田舎町にある七浜高校へ転校してきた小夏は、周囲にうまくなじめずにいた。そんなとき、七浜高校水族館部のひとり部員である小雪と出会う。お互いが抱える寂しさに惹かれ合ったふたりは――?

KADOKAWAコミック公式『熱帯魚は雪に焦がれる1』紹介ページより

都会から田舎に引っ越してきた小夏は、七浜高校が開く水族館のイベントに意図せずして参加することになります。そこで、水族館部員・小雪と出会います。

後日、七浜高校へ入学した小夏は、しかし転校初日とあって周囲に馴染めません。

落ち込む彼女は誘われるように海へ行きます。そこで見たのは、砂浜で転ぶ小雪の姿。

周囲から高嶺の華と思われている小雪の意外な一面を見た小夏は、強がって笑う彼女を見て、その姿を自分と重ねていました。

後日、水族館部員は1人しかいないという事実を知ります。自分と同じように小雪が1人ぼっちであると知った小夏は彼女への関心を強くし、水族館部に入部するのでした。

そして、互いに寂しさを抱える者同士、惹かれ合っていきます。

そんな2人の日常を描くのが『熱帯魚は雪に焦がれる』です。

キャラクタ紹介

天野小夏

都会から引っ越してきた転校生。七浜高校1年生。転校してきて周囲に馴染めなかったが、小雪と出会ったことにより水族館部に入部する。強がり系不器用という説明のとおり、周囲に弱みを見せないよう強がり、無理に作り笑いを浮かべたりする描写が見られる。

帆波小雪

七浜高校2年生。唯一の水族館部員だった。美人で優しく運動も勉強もできる完璧な女の子……と高嶺の華と思われており、そのイメージに応えようと振舞うことに息苦しさを覚えていた。真面目で買い食いとかもできない性格。他人の頼みを断ることができない。

『はにがれ』のポイント

周囲からは完璧な女の子だと思われており、小雪はそのイメージを崩さぬよう振舞い、息苦しさを感じています。ずっと自分を抑圧してきたわけですね。

そんな中、一人ぼっちの彼女が出会ったのが小夏でした。彼女は小雪に「我慢しなくていいのに…」と言葉を掛けます。

電撃コミックスNEXT:萩埜まこと著『熱帯魚は雪に焦がれる』1巻より

このように、小雪が我慢していると理解を示してくれる人は家族以外にいません。高嶺の華として気丈に振舞ってきた彼女にとって、「我慢しなくていい」という言葉はどれほど嬉しかったのでしょうか。

小雪にとって小夏は、自分を「高嶺の華」とは思っていない友達

つまり、自分と対等に接してくれる女の子というわけです。

同じように強がって振舞い、同じように寂しさを覚える2人だからこそ、互いに惹きつけ合っていきます。

『はにがれ』の魅力を考える

とにかく問答無用でキャラが可愛い

漫画である以上大事な点ですね。まず、純粋に絵が綺麗です。青を基調とした魅力的な表紙ですが、本作は表紙買いして大丈夫な作品です。

次にキャラの可愛さ。特に小雪は、小夏のことを思い出して一人で頬が緩むシーンが多いのですが、その姿が非常に可愛いんですよね。

例えば小夏に帆波先輩と呼ばれることを想像するシーンは

電撃コミックスNEXT:萩埜まこと著『熱帯魚は雪に焦がれる』1巻より

こんな風に、普段学校では決して見せない自然な笑顔を見せます。副題が『帆波小雪は浮かれない』と言いつつウキウキしまくってますね。

先輩として、友人として。彼女にとって小夏と過ごす時間がどれほど楽しいのか、これでもかというほど表現されます。

他にも入部してくれた嬉しさに舞い上がって電信柱に顔をぶつけたり小夏のことを思い出して一人部室で悶絶したりと、小雪がメロメロになっていく姿は本当に可愛い。

もどかしさが癖になる

片側が器用であれば、上手く相手の心情を汲み取ってトントン拍子に物語が進行するのですが、『はにがれ』は不器用×不器用という組み合わせ。

2人の関係が劇的・飛躍的に変化することがないわけで、そこに読者はもどかしさを覚えます。言い方を変えればじれったい。

距離を詰めようとしても、不器用なため勘違いしたり空回りしたり。連絡先の交換を言い出せないとか、なかなか夏祭りに誘えないとか……そんなもどかしさが癖になり、続きが気になります。

銘打つのが難しい2人の距離感

現在(3巻発売時点)、2人が互いを恋愛対象として見ているという明確な描写はありません※波沢調べ

話数を追うごとに惹かれ合っていく2人の関係は、友達以上の「特別」なのでしょうか。

では、その「特別」が行き着く先はどこか。

例えば恋愛漫画であれば恋人の形に落ち着くかもしれませんね。しかし、少女と少女の関係を描く漫画――百合漫画だとどうでしょうか。

何せ百合の定義は広いですからね。最後の関係が「友達」でも「恋人」でも「先輩後輩」であっても問題ないのです。

この2人が最終的にどういう「関係」を築くのか。

その点にも注目しながら、今後の展開に期待したいところです。

まとめ

今のところ、自分たちの抱く気持ちの名前について、主役の2人も判っていない様子ですね。様々なイベントを通して関わっていくたび、2人の気持ちが明確になりそうです。

また、過激な描写がなく、酷く憂鬱なシーンもないため、百合の入門書としてもオススメできると思います。

以上、『熱帯魚は雪に焦がれる』紹介記事でした。

補足

ちなみに、前回紹介させていただいた『アクタージュ act-age』は<次にくるマンガ大賞2018>において第5位でした。

こちらも(波沢的には)百合要素のある漫画ですので、百合好きの方はご一読いかがでしょうか?

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波沢るい
働き始めて4ヶ月。適応障害を告知され休職中。どうせなら空いた時間でブログ作るかァ! と始めた次第。百合を読み、百合小説を書きます。