漫画紹介

【漫画紹介】狂気が育み、愛が呑み込む。歪なるファンタジー『魔女が下す鉄槌』

どうも、最近は何かとファンタジー成分が不足している波沢です。

テイルズとかアトリエとか、基本的にはファンタジーが好きなんですよね。自分でも書いてみたりはするんですが、やっぱり世界を構築するのは難しいものです。

ファンタジー、読みたいですよね。

しかも魔女の話とか。ダークファンタジーも好き。百合要素があれば言うことない。

え、そんな我儘な要望を満たす漫画があるんですか!?

というわけで、はい、読みました!

8月に発売した『魔女が下す鉄槌 マレウス・マレフィカルム』です。

私は紙媒体の方を買って読んでいたのですが、今回電子版が9月14日に発売されたということで、この機会に記事を書いてみました。

こんな人にオススメ!

  • ダークファンタジーが読みたい
  • 愛が強すぎておかしな方向にいっちゃうヤンデレが好き
  • 表紙を見ても判るように、もちろん百合好きの方にもオススメ

では、以下から続きをどうぞ。

『魔女が下す鉄槌』について

『魔女が下す鉄槌』とは?

貧しい人々のため、日夜活動する義賊の少女・クロエ。彼女は相棒のモニカをはじめ貧民たちから「持たざる者のカリスマ」と称賛されていた。ただの盗賊である自分に対するそんな周囲の評価にどこか後ろめたさを感じていたクロエの運命は、メイファと名乗る一人の魔女との出会いによって大きく変わっていくのであった――新進気鋭作家が放つダークファンタジー、ここに開幕!!

上記のとおり、アルファポリスで連載されている漫画になります。

優しすぎる義賊・クロエは、普段と同様に相棒・モニカと「おつとめ」(「盗み」のこと)をします。「おつとめ」は無事成功し、貧民街の者たちにお金を配る算段もつきました。

しかし、その帰り際、クロエは道端に座り込む少女に見返りの求めない施しを与えます。

その少女こそ、愛を知らない魔女・メイファでした。無償の愛を受けたメイファは、クロエに好意を向け始めます。

しかしその好意は、病的と呼べるほどに過剰なものでした。

クロエと自分のためなら、他者を傷つけることなど意に介さぬほどに。

キャラクタ紹介

クロエ

義賊の女性。貧しい人々のために日夜活動している。心優しいというよりも、心優しすぎる女性。自分はただの盗賊であるという認識があり、救世主やカリスマとして持て囃されるギャップに後ろめたさを感じている。作中でとびぬけて美人に描かれている、とは波沢の談。泣きボクロって良いよね、とも波沢の談。

メイファ

愛を知らぬ魔女。端的に言ってしまうとヤンデレ。自分にとって都合が悪いと、クロエの周囲にいる人間が悪い、と認識して危害を加える。目を合わせた人間の身体を自在に操るという能力を持つ、ルルーシュもビックリの強制力。自分自身の身体も肉体の限界を超えて操作でき、髪の毛を自在に操ることもできる。その能力は更に強くなって……。

モニカ

アルファポリスCOMICS:みやまるん著『魔女が下す鉄槌』p.26より

クロエの相棒波沢の推し。髪の色は赤。幼いころから貧しかったみたい。彼女自身はまともなキャラクタに思われるが、良かれと思った彼女のクロエに対する行動も、状況を悪化させる。

ジェラール

アルファポリスCOMICS:みやまるん著『魔女が下す鉄槌』p.11より

衛兵隊長。かつてウィッチハンター(魔女狩りのようなものか)だったが、味方であるハズのウィッチハンターに裏切られて負傷。そして敵であるハズの魔女に助けられて生き残った。奥様はそのときの魔女であり、子供もいる。魔女との戦闘を心得ており、目を見ずに相手と戦うことができる。

感想

少しずつズレながら、進む

この作品は少しずつ、何かがズレながら進んでいると感じました。

例えばクロエとモニカの関係。クロエは義賊です。貧しい人々に金貨を分け与えており、カリスマや救世主として崇拝されています。しかし彼女は、自分はただ盗賊行為をしているだけ、と胸を痛めているわけですね。

自分の評価と周囲の評価に、ギャップが生じており、苦しんでいる。

そこで重要なのがモニカの役割です。彼女が真の相棒としてクロエの心情を理解し、支えてあげることができれば良いのですが、モニカは「クロエは救世主」「カリスマ」とクロエを称賛します。

モニカも良い子です。個人的にモニカめっちゃ好きですし。モニカは盗賊稼業で胸を痛めるクロエに対し、人々のための盗みは悪いことじゃない、と彼女を肯定してあげている。

でも、それはクロエが本当に求める回答ではないんですね。

アルファポリスCOMICS:みやまるん著『魔女が下す鉄槌』p.45より

クロエは盗賊ではない自分に価値を見出して欲しい。

そしてメイファは、そんなクロエの欲求を満たしました

そしてクロエは、愛を求めるメイファの欲求を満たしました

この2人の関係だけが、見事に嵌まってしまうわけですね。

この見せ方が非常に上手いと思いました。登場人物たちが、自分の大切なモノを守るため選択する行動が、少しずつズレを生んで、物語を歪に進めている。

そんな中で、この2人の関係はガッチリ嵌まっている。

使われている用語

ちょっとした小話です。

作中では盗みのことを「おつとめ」と表現していますね。

鬼平犯科帳好きの私としては馴染み深い単語なのですが、池波正太郎先生の作品を読んだことがない方はピンとこないかもしれません。というのも、池波先生が作った造語なんですね。

私はというと、百合目当てで買った漫画で「おつとめ」なんて単語が出てきたので、1人ではしゃいでました。作者の方もお好きなんでしょうか。

アルファポリスCOMICS:みやまるん著『魔女が下す鉄槌』p.19より

他には、副題である『マレウス・マレフィカルム』。本の袖にも説明が記載されているのですが、正確にはドイツ語で「魔女に与える鉄槌」という意味で、魔女に関する論文のタイトルですね。

愛の物語

愛の物語。結局は、これに尽きると思いました。

魔女の能力は愛によって強くなるらしく、クロエの存在は魔女・メイファの力を増長させていきます。あまりにも強すぎるので、どうやって倒すんだろう、という点が気にかかりますね。

いえ、そもそも、メイファを倒す話ではないのかもしれませんが。

クロエは愛を与える存在。メイファは愛を渇望する存在。ジェラールもまた、行動の根底には妻子への愛があります。

問題は、愛する対象が失われたときです。

クロエが殺されれば。メイファが殺されれば。妻や子が殺されれば。

愛の深さゆえに、キャラクタの感情は爆発するでしょう。

悲しみ嘆くか。怒り狂うか。その末に壊れてしまうのか。

愛情を与えるクロエは確かに優しいですが、優しすぎます。それは大きな欠点でもあります。聖女と言えるほどに慈悲深い彼女の愛情。それこそが、この物語をより歪にする要因になりそうですね。

まとめ

今回は『魔女が下す鉄槌』の記事を書かせていただきました。まあ、私の拙い紹介では判りにくいとは思いますので、恒例の試し読みリンクですよ。

試し読みはこちら!

アルファポリスなので、試し読みというよりは第1話無料という形式ですね。

充分に主要キャラの特徴が掴めると思いますし、ぜひ読んでいただけたらと思います。

以上、愛で歪む狂乱の物語――『魔女が下す鉄槌』の紹介記事でした。

2巻も楽しみにしております!

ABOUT ME
波沢るい
働き始めて4ヶ月。適応障害を告知され休職中。どうせなら空いた時間でブログ作るかァ! と始めた次第。百合を読み、百合小説を書きます。