小説書評

【小説書評】姫百合たちの放課後

百合書評第10弾。開設1月目はとにかく書評を10本書こう! と決めていたので、滑り込みセーフです。

色々試行錯誤を繰り返しているので、記事の雰囲気やブログのレイアウトが変わったり……そんな変化も楽しんでいただけたら嬉しいです。

というわけで、今回ご紹介させていただくのは『姫百合たちの放課後』

表紙も綺麗で愛らしいですね。庭園を背景に少女2人が見つめ合う様子は、まさに乙女の花園。FLOWERSやマリみてを連想させます。タイが曲がっていてよ、と今にも言いそう。少女が少女の三つ編みに触れるなんて、なんて恍惚とする美しい光景……。

なーんて、全部仮の姿なんですけれど。

こんな人にオススメ!

  • 官能百合小説が読みたい。
  • 重い話読みたくない。頭空っぽにして楽しめるやつがいい。

あらすじ

「ああ、静香お姉様! 気高く清らかな白百合! わたくしがあなたを守ってさしあげます!」――サディストの魔手が迫る美しき先輩・静香の純潔を守るため、一計を案じた女子高生・純子の奮闘を描く表題作、オリンピック正式種目となった“自慰道”に懸ける青春「花と指」、地球外生命の侵攻から人類を救うレズビアニズムの奇跡「2001年宇宙の足袋」など、可笑しくも甘酸っぱい全9篇を収録する“百合コメディ”作品集。

ハヤワカ文庫JA:『姫百合たちの放課後』裏表紙あらすじより

というわけで、百合コメディでした。

表題作『姫百合たちの放課後』を始めとした、短編集が9作収録されています。あらすじで百合と謳っているだけあって、内容は全て女性同士の話。

憂鬱とした物語は一切ありません。頭を空っぽにして読めます。ただし、官能的表現が含まれている点だけご注意を。SMシーンがたくさん入っており、全部一括りにするとSM官能百合コメディ小説ですね。

森先生の性癖がたっぷり詰め込まれた1冊と言えるでしょう。文章からイキイキとした感情が伝わってきました。書きたいものを書いている感が凄くて……。

 

著者紹介

著者は森奈津子先生です。

1966年東京都生まれの女性。1991年に『お嬢さまとお呼び!』でデビュー。

私自身は森先生の著作を読むのは初めてであり、なおかつ、本作の事前知識もゼロの状態で読みました。

Twitterもしてらっしゃるので、先生がどんな方か知りたい方は、そちらでも。

 

感想

深く少女たちの心情を描写したりはしません。何が何でも緊縛へ持っていく作者の強い拘りを感じます。もう、何が何でも、です。

姫百合たちの放課後、姫百合日記

表題作と、その続きのお話。『姫百合日記』は交換日記形式で話が進みます。

憧れの先輩がサディストの標的になった――と思った主人公・純子が、友人・レイをサディストに捧げることで先輩を守ろうとするお話。健気ですねえ。なんて、そんなわけない。

表紙に描いてある三つ編みの少女が純子で、ボーイッシュな方がレイです。紆余曲折を経て、この2人が結ばれる美しいお話。なんて、そんなわけない。

私の個人的に好きな会話シーンはこちら。その道ならではの専門用語が出てくる百合小説って、意外とないんですよねー。なんだか、逆に新鮮でした。

「まあ! わたくしの美学にケチをつけるおつもりね? ならば、こちらは、静香お姉様をネコなんかにさせないことを、あなたに誓うわ」

「きみ、時々、その道ならではの専門用語を使っているぞ。そんなんじゃ、エスは失格だな」

『姫百合たちの放課後』p.14より引用

放課後の生活指導

「先生……先生は、女の人を好きになったことが、ありますか?」

『姫百合たちの放課後』p.50より引用

生活指導室に来た貴恵が、担任教師である紀子に持ちかけた相談。それは、同性の少女を好きになった――という話。

同性愛への葛藤がまざまざと描かれ、鬱屈とした場面がひたすらに続きます……なんてことは……全くないです……。だって百合コメディですし!

普通に官能小説らしさ全開の描写があるので、電車の中で読まない方がいいですね。お家でゆ~っくり、一人のときに読みましょう。全く重苦しさはないです。

花と指

オリンピックの正式種目に加えられるまでになった、皆さんご存知、かの有名な「自慰道」のお話。いやー、今ではメジャーな種目ですからね。知らない人はいないでしょう。はい。

いや知らんがな。自慰道の文字に赤色アンダーラインマーカー引きながら、知らんがな、って思ってます。知らんがな。そんな自慰道に賭ける少女たちの話。知らんがな。

あまり書きすぎるとブログがR指定になる勢いなので、この感想はそっとしときます。

2001年宇宙の足袋

内容を説明すると、地球が宇宙人に侵略されます。壮大なSFストーリーの予感ですね。

端的に言うと、宇宙人は同性同士の性交渉を見せろと言ってきます。なるほど。……なるほど? そこで選ばれた主人公が、女性同士の性交渉を宇宙人に見せるというもの。そしてなんやかんやで、SMシーン突入です。なるほど?

満足した宇宙人は地球侵略を辞めます。

百合は世界を救う

お面の告白

ゴーストライターである由紀への依頼。それは、女優・宮様のインタビュー・テープを聴いて、彼女になりすましてエッセイを書くというもの。しかし、テープは不手際で録音されておらず、彼女は想像を目一杯膨らませ、1からエッセイを書いていこうとする。

宮様の学生時代を想像するうち、自分の高校時代の記憶が蘇り、やがて官能的な妄想になって……。

比較的普通のお話ですね。いや、この話を比較的普通、とか思っちゃう時点で大分森ワールドに引きずり込まれている感が否めないですが。

一九九一年の生体実験

名門女子高をスケ番連合の傘下に収めようと目論む真理奈が、タイマンを張りに生徒会長へ挑みます。そして見事睡眠薬を盛られて撃沈。眠らされた真理奈は拘束され、衣服を脱がされ、3人の少女たちに~(以下略

隙あらば緊縛拘束SM百合! という強い気持ちの籠った作品。スケ番がマゾヒストにまで堕とされるお話です。もう、それ以上言うことねえです……。これまた官能的な話なので、読む場所にお気を付けて。

お姉様は飛行機恐怖症

汀子と里奈、義理の姉妹である2人は、義理ということもあって距離を感じていました。互いに気を遣ってしまう2人を心配した親は、2人だけで香港旅行に行くことを提案。飛行機に乗るも、汀子は飛行機恐怖症であり、機内の中で延々と騒ぎ立てます。

完璧なお姉様が実は飛行機恐怖症で、義理の妹が意外な一面を知る。え、めっちゃ普通に百合やーん、と思いきや、やっぱりそうならぬのが定めか。

飛行機恐怖症 ⇒ 飛行機に乗ったら死ぬ ⇒ 帰りの飛行機に乗る=死ぬ ⇒ どうせ死ぬなら、悔いのないよう、妹に夜這いを仕掛けるという展開。

どう足掻いてもスケベな方向に話が転がりますね。そしてやはり、拘束するのです……。

 

総評

とにかく女の子が女の子を縛る!

というのが本作でした。好きなのは、愛のある拘束をするってところです。

あとがきでも書かれていますが、皆ハッピーなのです。大事です。

官能的な描写のある百合小説を読みたい、という方に是非オススメの一冊でした。

ABOUT ME
波沢るい
働き始めて4ヶ月。適応障害を告知され休職中。どうせなら空いた時間でブログ作るかァ! と始めた次第。百合を読み、百合小説を書きます。