小説書評

【百合書評】ココロ・ファインダ

百合書評第2弾。今回ご紹介するのは『ココロ・ファインダ』。

読んだ直後に紹介したくて仕方がなかったこの小説。

なんて言ったって、少女が少女の写真を撮るのって、百合じゃん!

 著者について

著者は相沢沙呼さん。男性。

日本推理作家協会会員ということで、作品の中にも推理要素が入っています。

『雨の降る日は学校に行かない』も百合作品としてTwitterで盛り上がっていましたね。

私の大好きな作家さんの一人です。他の作品も今後紹介させていただきます。

 あらすじ

女の子が女の子を撮影するのって百合じゃん! 百合!

というわけで、中身に触れる前に一度あらすじを見ていきます。

高校の写真部に在籍する四人の少女、ミラ、カオリ、秋穂、シズ。それぞれの目線=ファインダーで世界を覗く彼女たちには、心の奥に隠した悩みや葛藤があった。相手のファインダーから自分はどう見えるの? 写真には本当の姿が写るの?――繊細な思いに惑う彼女たちの前に、写真に纏わる四つの謎が現れる。謎を解くことで成長する少女たちの青春を、瑞々しく描く。

光文社文庫:『ココロ・ファインダ』あらすじより引用

物語はミラ、カオリ、秋穂、シズの視点で4作

この小説は終始一貫して、何かを通して見た少女たちの姿を描きます。

その何かとは、鏡であったり、カメラであったり、別の少女の瞳であったりします。

ミラから見たシズと、秋穂から見たシズの印象は違う。

自分の理想と、鏡に映る自分は違う。

そういった様々な視点――ファインダを通し、少女たちが悩み、苦しみ、成長する姿が描かれていきます。

 感想

さて……感想ですが。

シズとカオリの関係がね、最高に百合なんですよね!!

シズは「可愛い女の子を撮影するのが好き」であり、彼女が高校生になって選んだ被写体はカオリでした。

二人は喧嘩もします。泣きながら想いをぶつける場面もあります。カオリからシズへ。シズからカオリへ。この作品は、この二人の関係を特に重視して描かれているような気がしました。

例えば最初の短編『コンプレックス・フィルタ』。

この物語自体は、ミラがクラスの男子に恋をして、様々な葛藤が生れるお話です。そんな1作目からも、カオリとシズの関係が出てきます。カオリが部室に来なくなり、理由は彼女たちが喧嘩しているのではないか、と考えたミラが、その原因を突き止めていきます。

百合好きとしては、ミラの恋より二人の関係が気になって仕方ないんですよね……。

いや、この短編の主題はミラの恋と葛藤なんですがね! でも百合好きですもん!

さて、そんな二人の関係ですが、短編の3つ目『ツインレンズ・パララクス』ではカオリ視点で、4つ目『ペンタプリズム・コントラクト』ではシズ視点で描かれます。

可愛く人気者のカオリですが、彼女にも彼女の葛藤があって生きています。

その葛藤を打ち明けるとき、シズはカオリをどう受け入れるのか。

頭が良いシズですが、彼女が求めるのは良い大学に入ることではありません。

シズの叫びを聞いたとき、カオリはシズへ何を伝えるのか。

理想と現実の差に苦しみ、乗り越え、次の一歩を踏み出す少女を描く本作。

カメラが繋ぐ少女たちの物語は、まさに青春小説でした。

ABOUT ME
波沢るい
働き始めて4ヶ月。適応障害を告知され休職中。どうせなら空いた時間でブログ作るかァ! と始めた次第。百合を読み、百合小説を書きます。